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【エナジェル研究所】エナジージェルの糖質の種類を理解すると選び方が見えてくる

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エナジージェルを選ぶ際に糖質の種類まで見ている人は相当なマニアだと思いますが、グルコースや果糖、マルトデキストリンなどの言葉は聞いたことがある人がほとんどのはず。

最近はパラチノース含有のエナジージェルなんかも出てきて、なんとなく吸収がゆっくりなのは知ってるけど…という人も、糖の種類を理解するだけで適切なエナジェルの摂取タイミングが分かるようになってしまいます!

今回はそんな糖質の種類によるエナジェルの選び方をチェックしちゃいましょう!

この記事を読めば分かること

糖質の種類が分かる

糖質の吸収経路や速さが分かる

糖質別の補給タイミングが分かる

シーンによって適切なエナジェルの糖質のタイプが分かる


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糖質の種類を説明していきます


エナジェルに含まれている炭水化物糖質食物繊維などに分けられます。よく使われている糖質の種類にはグルコース果糖(フルクトース)マルトデキストリンパラチノースの4つがあり、以下で特徴を解説していきます。


いわゆるブドウ糖であるグルコースは最も基本的なエネルギーで、胃から小腸へ移動して吸収されます。吸収速度は比較的速いのですが、単体では1分あたり1gしか吸収されないという制限もあります。

果糖(フルクトース)はグルコースと同じ小腸から吸収されますが、吸収の入口が別になっていて、肝臓に届いて活用されます。そのため単独では効率が悪いのですが、グルコースと併用すると効率がアップするのです!

マルトデキストリンはグルコースを重ね合わせた多糖類で、消化されることでグルコースとして吸収されます。同じ糖質の量でもグルコースより糖の粒を重ね合わせている分、数が少なくなり、胃腸への負担が軽減されます!これで、より高濃度の糖分が摂取できるというわけです。

パラチノースはグルコースと果糖(フルクトース)からできた二糖類で、結合が強く分解速度が遅いのが特徴。血糖上昇が緩やかでゆっくり長く吸収されるから持続的にエネルギー供給ができる。ただ、それが本当に運動に向いているかはまだ研究段階だよ。

パラチノース
パラチノース

これを理解したからって何になるのって?
まあそう焦らないで!パラチノースみたいにゆっくり吸収していこう


糖質の吸収速度とその限界量を知ることが大事


グルコースの科学でも説明したようにグルコース単体で摂取すると1分あたり1gのグルコースしか吸収できないんです(個人差あり)。それって何がダメなのかって?

実は速く走ることができるエリートランナーは炭水化物(糖質を含んでいる)を1時間で60-90g、もしくはそれ以上を摂取しながらマラソンを走っています。これはエナジェル3本から4本の糖質量に相当します。一般のランナーでも糖質の摂取推奨量が1時間で30g〜60g、長時間になるとそれ以上と言われています。

そうなるとグルコース単体のエナジェルを使っている場合、どれだけ摂取しても1時間で60g程度しか吸収できていない、ってことになってしまいます。

しかもそれだけの量のグルコースが一気に胃のなかにたまると胃の働きが低下してしまい、うまく腸にまで届けられなくなってしまいます(後述する浸透圧の影響)。

グルコース
グルコース

グルコースは吸収が速いんだけど、こう見えて吸収されるにも限界があるんです。でもそんなにいっぱい摂る人が凄すぎるだけなんだからね!

というわけで、炭水化物/糖質をマラソンなんかの競技でいっぱい摂ろうと考えている人にとってグルコース単体で使用されているエナジェルは不向きっていうことなんです!ほら、意外と糖の種類って大事でしょ?でもジェルを作っている側もそんなことは分かっているので、グルコース単体のエナジェルは少ないんですけどね。

フルクトース
フルクトース

グルコースには限界がある!なので活躍するのが私たち、フルクトースマルトデキストリンのグルコースとは別の糖類なんです!

エナジェルの糖類の組み合わせでよくあるのが、果糖(フルクトース)とマルトデキストリンの配合系です。フルクトース単体では効率が悪くても、消化されるとグルコースになるマルトデキストリンを組み合わせることで1時間あたり最大60gの吸収限度だったグルコースがおおよそ90g以上の吸収限度までアップするんだ。

デキストリン
デキストリン

なるほど、そういう仕組みでグルコースの吸収限度をアップさせてエリートランナーたちはいっぱい炭水化物(糖質)をレース中に摂取しているんだね。


多量の糖質を摂取するとどうなるか?


では、糖類たちは組み合わせると吸収効率がアップするという仕組みが分かったところで、本当にそれだけの量を摂取すればどうなるかを見ていきましょう。

一般的なエナジェルは1本あたり炭水化物量として20g-30gの量が含まれていることが多いです。これはほとんどがそのまま糖質として置き換えることができるので、ランナーのレベルにもよりますが、1時間あたり1本から3本くらいまでが摂取目安とされています。

エナジェルを1時間に1本とか2本はまだ想像できそうですよね?では1時間に3本はどうでしょう?

想像するだけで胃がもたれてきそうです。走りながらそんなにいっぱいエナジェルを摂ってもいいか、不安にもなってきますよね。

実は多量の糖分を含む食べ物や飲み物は、その濃度(浸透圧という仕組み)で、食べ物の濃度と体の中の濃度がバランスを取れなくなってしまいます。

そうなると、胃の中で停留を起こしてしまう問題が生じてしまいます。
糖分は小腸や肝臓まで届いて吸収されるので、胃から腸に出ていかない、せっかく食べたのに糖分が吸収されないという大問題が発生します。

これがランナーの中でも経験したことのある人が多い、ジェルを食べて気持ち悪くなる問題の1つの要因です。


気持ち悪くなった上に、胃からジェルが出ていかないので吸収されず、エネルギーも無くなっていく、そんな負のスパイラルが浸透圧の影響で完成してしまいます。

この解決策は2つあります。

1つ目はズバリ、水を飲む!です。

水を飲むことで胃のなかのジェルの濃度を薄めてあげると、胃からの排出を促すことができて無事に解決することができます。

2つ目はズバリ、マルトデキストリンなどが適切に使用されたジェルを使うということです。

マルトデキストリンは、吸収されるまではグルコースが重なり合った粒が小さい形をしているので胃のなかの濃度を上げることなく通過しやすい状態になっています。


しかしここでもマルトデキストリン単体では吸収上限があるので、フルクトースが併用されているジェルということがキーワードになってきます。

実は理想的な配合比率があり、グルコース:フルクトースが2:1になるようにすれば吸収効率が上がり、胃腸トラブルが比較的少ないと言われています。

グルコース:フルクトースの割合が1:1に近づくにつれて、最大吸収効果が狙えるのですが、その分胃腸トラブルがハイリスクになると言われています。

この比率で1時間あたり90g以上の糖質を摂取しようとすると事前に腸トレーニングが必要になってきます。

ただし、実際にその糖類の比率を公表しているエナジージェルは少ないのが現実なのですが。


他にもある、糖の種類!


ジェルによってはハチミツが主原料となっており、糖の種類が記載されていないこともあります。そういったジェルはいったいどういった糖なのかも解説しておきましょう!

ハチミツは天然の二糖類で、分解されるとトレハロース(下で説明)とフルクトースがくっついた構造になっています。どちらかというとフルクトースが優位で、吸収はやや緩やかで持続性がありますが胃腸耐性は個人差が出やすいです。

いわゆる砂糖(ショ糖)はスクロースに分類されます。
分解されるとグルコースフルクトースが半分ずつになります。吸収は中速というところで、量が増えると胃腸トラブルが起きやすくなる可能性があります。

トレハロースはグルコース×2の二糖類です。分解が遅く吸収が緩やかなため血糖上昇もゆっくりになります。これをメインで使っているジェルは少ないですが、使用されているものも目にすることがあります。

たまにデキストリンと記載されたものもありマルトデキストリンとの違いに悩みますが、広い意味合いを持つ同じような形をしたグルコースの集合体です。重合度が低いものがマルトデキストリンに近くなり、高いものは難消化性デキストリンなどとなります。


糖類の特徴を理解すると糖質単体のジェルは選びづらい


ここまでの説明で、グルコース系の糖質(グルコース、マルトデキストリンなど)の単体やフルクトース(果糖)などの単体ジェルは吸収速度にばらつきはあるものの、吸収量に上限があるために多く糖質(炭水化物)量を摂ろうと思えば思うほど限界に到達しやすくなることがわかったと思います。

そこでフルクトース(果糖)グルコース系が組み合わさったものの方が糖質を1時間あたり60g以上を摂取しようと思うと有利になるということを説明してきました。ここを理解すれば、ジェルを手に取った時にパッと裏返して成分表示を参照するとなんの糖質が入っているかチェックしたくなりますよね?

Maurtenはグルコースとフルクトースの組み合わせ

では実際に、ここからマラソンを例にしてジェルによって違う使われ方をしている糖類の使い分けを意識したエナジェルの摂取タイミングを考えてみましょう!


マラソンのフェーズ別糖質補給戦略を考えてみよう



マラソンスタート前


マラソンスタート前までできるだけ糖分を摂取する方が有利ですが、その際に必要なのは運動誘発性低血糖の予防です。この低血糖がどの程度パフォーマンスに影響するかは不確実で、個人差がありますが、注意するに越したことはありません。

この運動誘発性低血糖を回避するにはスタート1時間ほど前に糖質摂取を終えて、少なくとも30分から45分前は摂取しないことです。

血糖上昇に反応して出るインスリンの働きと、運動/筋収縮によって筋肉内に血糖が取り込まれる働きのタイミングが合わさってしまい、血糖が一気に低下して低血糖の状態になってしまうためです。

逆にスタート直前でジェルを摂取するのも1つの手法で、インスリンが反応する前に運動を開始してしまえば、交感神経の働きによってインスリンの分泌が抑えられて防ぐことができるという方法です。

もしくは糖質の種類を変えることも有用です。ここまでで見てきたように、吸収の比較的緩やかなフルクトース(果糖)が多めのものやパラチノースが入ったものなどがおすすめです。

血糖値の上昇度を示す値としてGI値という指標は、グルコースを摂取した時の血糖上昇度を100としたときに、これより血糖値が上昇しやすいか、上昇しにくいかを示すものになります。

GI値が低いものを摂取すればインスリンの分泌も少なくなり、血糖を安定させてスタートできるというわけです。


マラソンスタート後~ゴール1〜2時間前まで


スタート前までに十分なグリコーゲンローディングができていれば、吸収が速い糖質を焦って摂取する必要はありません。摂取するなら低GI系(フルクトースやパラチノース)が含有されたものでも大丈夫です。

しかしパラチノースメインとなってくると、血糖上昇のピークが1〜2時間となることがあります。ハーフマラソンやゴールまで残り2時間ほどしかない場合は、極端に持続系のものではなく、グルコース系やフルクトースがブレンドされたジェルを摂取することが適切です。

継続的にパラチノースが入ったジェルを摂取するのは戦略的で良い作戦です。

ただグルコース・フルクトース系から時間を開けてパラチノースがメインのものを補給してしまうと、血糖値が低い時間ができてしまう可能性があります。そうならないように組み合わせを考える必要があります。


ゴール1〜2時間前から


ここからは消耗してきている糖質不足との戦いになるため、しっかりと吸収の早い糖類で「ガソリン」を入れていきましょう。

そして重要になるのは摂取しやすいことです。いくら吸収が早い、高糖質なジェルを持っていても体(口、くち)が受け付けなければ意味がありません。

またここまで多量のジェルを摂取し続けていた場合、ジェルの浸透圧で胃の動きが停滞している場合があります。水を摂取するなどして胃の中にあるジェルの浸透圧を下げ、ジェルを腸へ押し込むイメージも大事な戦略になってきます。

ここでカフェインが含有されたジェルも効果的です。カフェインの効果は個人差がありますが、疲労感を感じにくくする働きがあるため、最後のスパートに効果的です。ただし、糖質が適切に補給されていなければ、ガソリンが少ない車のアクセルを踏んでいるだけになるため効果は少なくなってしまいます。


まとめ


糖質の種類は色々とあり、基本的にはグルコースやフルクトース(果糖)が単独であったり、くっついた形であったりというイメージです。そのタイプにより吸収経路/速度や血糖の上がり方に違いが出てきます。また、口から摂取した糖類は胃ではなく腸に届いてから吸収されるため、胃を通過させる必要があります。高濃度な糖質のエナジェルを大量に摂取すると、浸透圧の影響で胃に滞留しやすく、それが胃腸トラブルを引き起こし、糖も吸収されない悲惨な状況に陥ります。

ぜひあなたが持っているエナジェルがどのタイプの糖類を使っているかチェックしてください!

引用参考文献

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Burke LM, Hawley JA, Wong SHS, Jeukendrup AE. Carbohydrates for training and competition. Journal of Sports Sciences. 2011.

寺田新. 『スポーツ栄養学 第2版』東京大学出版会. 2024.

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