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ランニングでお腹の調子が崩れたことある人いるよね?「運動関連胃腸症状(GIS)」のメカニズムと予防方法をまとめます!

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走っていてお腹の調子が悪くなったことがあるランナーの皆さんへ。

なぜお腹の調子が崩れる?症状が出やすいシチュエーションは?どうやって予防・対処すればいい?そんな疑問に答えるべく、勉強してみました。

持久系アスリート、特にランナーにとって、運動中の胃腸トラブル(GIS: Gastrointestinal Symptoms)はパフォーマンスを左右する死活問題です。

最新の文献では、全持久系アスリートの30〜50%、ランナーでは30〜90%が経験すると報告されており、DNFの主要な原因の一つとなっています。

我々市民ランナーだけでなく、オリンピックレベルの選手も時にはGISでDNFします。ではどうやって予防すればよいのでしょうか?

※この記事ではNotebookLMを用いています。

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0. 見て分かる!GISのすべて

どんな人がなりやすい?
どう対策したらいい?

さあ、時間がある皆さんは、もう少し詳しく見ていきましょう。

1. GISの発生メカニズム:なぜトラブルが起きるのか?

GISの原因は非常に複雑ですが、主に以下の4つの経路が相互に作用して発生します。

  • 生理学的要因(内臓虚血): 運動中、筋肉への血流を確保するために内臓への血流が最大で80%減少します(内臓灌流低下)。これにより消化管粘膜に虚血性のダメージが生じ、腸の透過性(リーキーガット)が高まることで、体内に炎症物質(エンドトキシン)が侵入し、吐き気や腹痛を引き起こします。
  • 機械的要因(物理的衝撃): 走行中の身体の上下動(バウンシング)が胃腸を物理的に揺さぶります。これが胃の不快感や、急な便意、差し込みを引き起こす直接的な刺激となります。姿勢(前傾姿勢の継続など)も内臓圧迫の一因です。
  • 心理的要因(脳腸相関): レースへの不安や、日常生活でのストレス、高い不安レベルが消化管の過敏性を高め、症状を増悪させます。
  • 栄養学的要因: 運動前・中における高脂質、高タンパク質、高食物繊維の摂取は胃排泄を遅らせ、症状を誘発します。また、飲料の浸透圧(糖分濃度)が高すぎることや、特定の糖類の吸収不良も大きな要因です。
こゆき
こゆき

これらの原因が複合的に作用して腹部症状が出るんだね。

2. リスクの高い層とその理由

GISの発生には、個人の性質やトレーニング習慣が強く関与しています。

  • 女性ランナー: オランダの大規模調査では男性45%に対し女性67%と、女性の方が有意に高い発生率を示しました。卵巣ホルモンが胃腸の運動性に影響を与える可能性や、女性の方が症状を「より深刻で苦痛なもの」として知覚・報告しやすい傾向があるためと考えられています。
  • 若年層(34歳以下): 経験豊富なアスリートに比べ、若年層はGISのリスクが高いことが示されています。これは、長年のトレーニングによる消化管の「物理的な適応」が未熟であることや、自分に合った栄養戦略をまだ確立できていないことが理由として挙げられます。
  • トレーニング強度と量(U字型相関): 運動強度が上がるほどリスクは高まります。興味深いことに、中国の調査では月間走行距離が「極端に少ない層(20-50km)」と「極端に多い層(500km超)」の両方でリスクが高まるという「U字型の関係」が報告されています。
  • 過去の病歴: 最も強力な予測因子は「過去にGISを経験したことがあるか」です。過敏性腸症候群(IBS)や慢性的な胃炎を持つアスリートは、運動中に重症化しやすい傾向があります。
ばっきー
ばっきー

ビギナーの若年男性に起こりやすいのか。。

3. 分類される症状と発生のタイミング

症状はその発生部位によって大きく2つに分類されます。

  • 上部GIS(胃周辺): 胸焼け、逆流、吐き気、嘔吐、げっぷ、胃痛。
  • 下部GIS(腸周辺): 腹部膨満感、ガス(鼓腸)、便意、便失禁、下痢、腹痛、脇腹の痛み(差し込み)。
  • 発生タイミング: レースの中盤(Middle Stage)で発生率と重症度がピークに達することが報告されています。女性はレース序盤に症状が出やすいという特徴もあります。
こゆき
こゆき

私はビギナーの頃、10km以上走ると決まって吐きそうになってました。30kmのトレイルレースでも途中嘔吐しまくったことがあるよ…。

4. 日常生活からの予防:習慣的な食事の工夫

最新の研究では、レース直前だけでなく日常の食習慣がGISに影響を与えることが判明しました。

  • 「不健康な選択」を控える: ケーキ、クッキー、スナック菓子、甘い飲料の日常的な摂取は、男性において下痢や膨満感(下部GIS)のリスクを高めます。
  • お茶の摂取量: 男女ともに、日常的にお茶(特に下剤作用や刺激のあるもの)を多く飲む習慣は、運動中の下部トラブルと正の相関があります。
  • 質の高い脂質と果物: 質の低い脂質の過剰摂取を避け、十分な果物を摂取しているランナーは、男性においてLAC(下部症状)が少ない傾向にあります。
ばっきー
ばっきー

日頃から胃腸を整えることが大切ってことだね。

5. 戦略的な栄養対策

競技中のトラブルを最小限にするための具体的な戦略です。

  • 食事のタイミング(3時間ルール): 運動直前30分以内の食事は、膨満感や便意のリスクを劇的に高めます。メインの食事は運動の3〜4時間前に、軽食でも2時間前までに済ませるのが鉄則です。
  • 短期間の低FODMAP食: 腸内で発酵しやすい糖類(FODMAP)を、レースの24時間前〜6日前だけ制限することで、腹痛やガス、下痢を劇的に改善できる可能性があります。ただし、長期的な制限はエネルギー不足を招くリスクがあるため、重要なレース前に限定して行うのが推奨されます。
  • プロバイオティクスの慢性摂取: Lactobacillus acidophilus などの特定菌株を4週間〜3ヶ月継続して摂取すると、腸壁の結合(タイトジャンクション)が強化され、レース終盤の吐き気や不快感を抑えられる可能性があります。
こゆきさん
こゆきさん

いや、運動前3時間は食事しないとか、無理じゃない?練習でもレースでも非現実的…、ということは、鍛えるしかない?!

6. ガットトレーニング(消化管の強化練習)

「胃腸は鍛えることができる(Train the Gut)」という概念は、現在最も有望な対策です。

  • メカニズム: 運動中に意図的に炭水化物を摂取し続けることで、小腸にある炭水化物輸送体(SGLT1やGLUT5)の数が増え、吸収効率が劇的に向上します。これにより、吸収しきれなかった糖が腸内で発酵してトラブルを起こすのを防ぎます。
  • 実践プロトコル:
    • 期間: 最低2週間。
    • 方法: 週に数回、トレーニング中に1時間あたり30g〜90gの炭水化物(レースで予定している量)を摂取する練習をします。
    • 糖の組成: グルコースとフルクトースを混合(2:1や1:0.8などの比率)して使うと、異なる輸送体を利用できるため、吸収不良のリスクが下がります。
ばっきー
ばっきー

先日フルマラソンでサブ2を達成したサウェ選手も、トレーニングしていたみたいだね!

7. 注意すべきその他の製品・成分

  • ハイドロゲル技術: 胃の中でカプセル化される技術ですが、現時点では「通常の飲料に比べてGISを劇的に減らす」という明確な証拠は不足しており、非常に高強度な運動でのみ効果が出る可能性が示唆されるにとどまっています。
  • MCT(中鎖脂肪酸): エネルギー源として期待されますが、高用量の摂取は重度の吐き気や腹痛を誘発するリスクが高いため、運動中の使用には慎重な検討が必要です。
  • 鎮痛剤(NSAIDs): 痛み止めの使用は腸のダメージを悪化させ、重篤な胃腸障害のリスクを高めるため、推奨されません。

まとめ:自分に合った「胃腸マネジメント」を

胃腸の不快感には個人差が非常に大きく、誰にでも効く魔法の解決策はありません。

まずは、普段の食生活を整えること、また、練習中に予定している補給食を試す(ガットトレーニング)ことから始めましょう!

自身のトリガーとなる食品(乳製品、特定のFODMAP食品など)を特定し、レース前の食事管理を徹底することが、トラブル克服の第一歩となります。

参考文献

Mlinarica, J., & Mohorko, N. (2025). Nutritional strategies for minimizing gastrointestinal symptoms during endurance exercise: systematic review of the literature. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 22(1), 2529910.,
Baart, A. M., et al. (2023). Exercise-related abdominal complaints in a large cohort of runners: a survey with a particular focus on nutrition. BMJ Open Sport & Exercise Medicine, 9, e001571.
Zhao, X., et al. (2025). Gastrointestinal symptoms among recreational long distance runners in China: prevalence, severity, and contributing factors. Frontiers in Nutrition, 12, 1589344.,
Ryan, T., Daly, E., & Ryan, L. (2023). Exploring the Nutrition Strategies Employed by Ultra-Endurance Athletes to Alleviate Exercise-Induced Gastrointestinal Symptoms—A Systematic Review. Nutrients, 15, 4330.,

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